インターネットの真の意味
●インターネットの真の意味
インターネットの真の意味は、不特定多数無限大の人々とのつながりを持つためのコストがほぼゼロになったということである。
子供の頃に「1億人の人から1円ずつもらえたら1億円になるな」なんて夢を思い描いたことのある人は多いのではないだろうか。
「1円くれませんか」と人々を訪ね歩けば、かなりの確率で1円なら貰えるとしても、1円貰うための労力・コストが大きいから、リアル世界では非現実な夢想に過ぎなかった。
でも誰かから1円貰うコストが1円よりもずっと小さいとすれば、「不特定多数無限大の人々から1円貰って1億円稼ぐ」ネットビジネスは現実味を帯びてくる。
時間で考えてみたっていい。
従業員1万人の企業と言えば立派な大企業であるが、この企業が1日稼動すると8万時間が価値創出のために使われる計算になる。
「1万人×8時間」の人数を増やしながら、時間を短くしていくとどうなるだろう。
10万人から48分ずつ集めることができれば8万時間になる。
100万人なら一人4分48秒。
1000万人なら28.8秒。
1億人ならば3秒弱である。
つまり従業員1万人の企業の社員が丸一日フルに働くのと同じ価値を、ひょっとしたら1億人の時間を3秒ずつ集めることでできるかもしれないのだ。
「(≒無限大)×(≒無)=Something」
放っておけば消えて失われていってしまうはずの価値、つまりわずかな金やわずかな時間の断片といった無に近いものを、無限大に限りなく近い対象から、ゼロに限りなく近いコストで集積できたら何が起こるのか。
ここに、インターネットの可能性の本質がある。
梅田望夫
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